看護師として思いを新たにしたでき事

あれからかれこれ20年近くなるお話です。
月日が経つ今でも、その日の事を何故か鮮明に覚えております。

それは私が看護師となり1年も経たない時。
受持であった患者様は、肝硬変と肝臓がんの末期で、全身黄疸で黄色くなり、痩せ細った身体にお腹だけは腹水でパンパン。意識は朦朧としていましたが、元気な頃からとても心遣いの優しい笑顔の素敵な方でした。

毎日、奥様や3人の娘さん方がお見舞いに来られておりました。長くお話はできなくとも、背中や手足をさすってマッサージしたり、身体を拭くのを一緒にして下さったりと、とてもお父様の事を大切にされているのがよく分かりました。

主に点滴での治療を続け、小康状態のまま月日は経過しておりましたが、やはり限界の時がきてしまいました。肝硬変の合併症である、食道にできていた静脈瘤が破裂し、吐血。血圧はみるみる下がり、呼びかけにも僅かな返答。直ぐにご家族へ連絡しつつ、同時に蘇生処置を施しました。「ご家族が到着し、お父様の最期を見守ってほしい」私たち医療スタッフは皆そう思っておりました。
「奥様、娘さん達が来るまで頑張って!」
薬剤を投与し、心臓マッサージ、電気ショック‥。
そこでできる事はやり、ご家族の一刻も早い到着を願っておりました。

蘇生を続ける中、奥様と娘さん達が到着しました。
奥様も娘さん達も、いつかはこの日が来る事を覚悟はされていたとは思いますが‥。
私たち医療スタッフは、泣きながらお父様に寄り添う3人の娘さん方と奥様へ、その場を少し離れ見守っておりました。
娘さんの1人が、お父様の手をしっかりと握りながら、そして半ば叫ぶようにして発した言葉。
「お父さん!今日はお母さんの誕生日じゃん!!」

看護師になりたての私は、ドクターや先輩ナースの指示を受けながら、1人の担当看護師として動いてきておりましたが、この瞬間、1人の人間として、涙か流れました。
患者様の笑顔、入院生活での事が走馬灯のように巡る中、静かに息を引き取られました。

その日は私にとっても、看護師として「その人らしく最期をお迎えして頂きたい」という、想いを強くさせてもらえた日となりました。
月日が経ち、私もベテラン看護師の域になり、何度か職場を変えましたが、今でも辛い事があってもこの日の事を思い出し、患者様に感謝しております。
【看護師 求人 室蘭】

Posted in blog by zara